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ポートランドの交通事情 〜LRT(ライトレール・トランジット)

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木村 仁

アメリカ合衆国オレゴン州の中心都市、ポートランドは西海岸の北に位置する、人口約60万人(近郊の通勤圏も含めれば約226万人)の地方都市です。中心部の人口の大きさでは全米29位、郊外も含めた人口では全米23位の中規模都市です。中規模地方都市と言えども近郊にはナイキやインテル、ダイムラー(トラック部門)と言った国際的大企業の本社や工場があり、又中心部にはIT関連の新興企業も多い為か、街にはお洒落な店やレストランが並び、洗練された「都会」の雰囲気に溢れています。その都心部まで郊外からバスと共に住人を運んで来るのが、MAX Train (マックス・トレイン、以下MAXトレイン)と呼ばれるLRT、ライトレール・トランジット=軽量軌道交通機関です。

車社会と呼ばれるアメリカでは公共交通機関が限られている場合が多く、多くの人が自家用車を利用しているようですが、ポートランドにはこのMAXトレインとバス、更に市内のみを走る路面電車(=ストリートカー)があり、全米の中でも比較的公共交通機関が充実している都市だと言えます。このMAXトレインはLRT=ライトレール・トランジットと呼ばれる小型の電車です。例えばJRや私鉄の電車(RRT=ラピッドレール・トランジット)が専用の線路を走り輸送量も多いのに比べると、LRTは車体も小さく通常1〜2両編成で運行されます。走行形態は都市によって違いがあるようですが、ポートランドの場合、郊外の一部では隔離された専用線路を、市内では車と同じ道路に引かれた線路の上を走ります。なので丁度普通の電車とストリートカーを足して2で割ったような感じです。

運賃は距離に関係なく購入から2時間有効の乗車券が大人は2ドル50セント(約200円)、7歳から17歳の子供・中高生は1ドル65セント(約132円)、65歳以上・身体障害者は1ドル(約80円)です。乗車券の有効時間内であれば、何度でも乗り換えやバス・ストリートカーへの乗り継ぎができます。又、通常の乗車券の他に1日券(購入した時間から同じ日付の終電まで有効)、14日券、30日券があります。(値段はそれぞれの年齢区分により異なる)

ポートランドには現在4路線のMAXトレインが走っています。最も古いのがブルー・ラインで、1986年9月に開通しました。走行距離は約52.6キロ、4路線の中では最も長い距離を往復します。更にレッド・ライン、イエロー・ライン、グリーン・ラインがそれぞれ2001、2004、2009年に開通され、現在は新たにオレンジ・ラインが2015年の開通に向け工事が進められています。この4路線は全て郊外から市内に乗り入れますが、更にWESというライトレールがあります。この電車は市内への通勤者が多く住むビーバートンやタイガードと言った郊外の中を平日の朝夕、通勤・通学時間帯のみ運行します。市内には直接乗り入れず、乗客は途中の中継地点でレッド・ラインやバスに乗り継いで市内まで来ます。これらの地域に住む通勤・通学者が車で市内に来る場合国道5号線を通りますが、WESはここの朝夕の渋滞を緩和する目的で作られた路線です。2012年5月時点の統計によると、1日延べ約1052人が利用しているそうです。

それぞれの路線の詳細は以下の通りです。

 

路線

走行距離

工事期間

開通時期

予算

財源

駅数

ブルー・ライン
(第一工事)

約24km
(約15マイル)

1982年3月〜1986年9月

1986年
9月5日

約171.2億円
(2億1400万ドル)

国:83%
地方17%

31

ブルー・ライン
(第二工事)

約28.6km
(約18マイル)

1993年7月〜1998年9月

1998年9月12日(一部1997年8月29日開通)

約770.4億円
(9億6300万ドル)

国:73%
地方27%

20

レッド・ライン

約41km
(約25.5マイル)

1999年5月〜2001年9月

2001年
9月10日

約100億円
(1億2500万ドル)

民間:22.6%
地方77.4%

29

イエロー・ライン

約9.3km
(約5.8マイル

2000年11月〜2004年5月

2004年
5月1日

約280億円
(3億5000万ドル)

国:74%
地方26%

22

グリーン・ライン

約13.4km
(約8.3マイル

1993年7月〜1998年9月

2009年9月12日

約460.6億円
(5億7570万ドル)

国:60%
地方40%

28

 

MAXトレイン各路線の所要時間と2012年度年間利用者数は以下の通りです。

 

年間利用者数

始発から中心街までの所要時間(西部)

始発から中心街までの所要時間(東部)

ブルー・ライン

2114万人

51分

47分

レッド・ライン

815万人

23分

38分

イエロー・ライン

540万人

(東部のみ運行)

25分

グリーン・ライン

750万人

(東部のみ運行)

39分

 

2011年度の統計によると以下のような事実が浮かび上がって来ます。

 

・年間で延べ4120万人(*)がMAXトレインを利用し、平日の1週間当たりの平均利用数は12万6800回に上る。(*2012年は延べ4219万人。比較的新しいグリーン・ラインの乗客数が大幅に伸びた事が主な要因)

 

・夕方のラッシュアワー時に国道5号線や26号線沿いの地域に帰宅する人のうち、26パーセントに相当する人が、乗用車の代わりにMAXトレインを利用している。

・ポートランド西部を走るMAXトレイン(ブルー・ラインとレッド・ライン)の輸送量は、国道26号線の2.9車線分に相当する。

MAXトレイン利用者の84パーセントが、自家用車を所有しているが敢えてMAXトレインを利用している、又はMAXトレインがあるので自家用車を所有する必要がない、と答えている。MAXトレインが混雑緩和だけでなく車の使用頻度の低下=環境保全にも役に立っている。

MAXトレインによって、平日1日に付き約8700回(1年で約2680万回)の車による移動(通勤、通学、買い物等)が削減されており、バス等を含めた公共交通機関全体の利用者全員が代わりに自家用車を利用した場合に比べ、排気ガス量は約53パーセント少ない。

 

木村 仁(創造くまもと 代表理事)

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